九冊の猫:瓶詰めの街

 いしかわじゅんさんの「瓶詰めの街」を紹介します。

 ひっどいなあ、この帯。このキャッチフレーズ(笑)。


 この「瓶詰めの街」は、小説です。
漫画家のいしかわじゅんさんには、小説の著作もあるのです。
小説を書くようになった経緯について、
「東京で会おう」のあとがきから長めに引用します。

 漫画を描くのが本業であるぼくが、どうして小説を書くようになったのかというと、その理由は簡単だ。編集者に頼まれたからだ。
(略)ある日突然うちの仕事場に電話がかかってきて、ちょっとさあ一本書いてよ、などと軽い調子で頼まれてしまったのだ。(略)彼はいうのだ。ダーイジョブ、漫画が書けりゃ小説だって書けるって。そ、そういうもんなのかな……。(略)
 大体、編集者というのは、いい加減だ。ぼくがそもそも雑文を書き始めたのだって、S英社の週刊Pレイボーイの編集者がいきなり依頼してきたからだ。(略)その編集者は、ダーイジョブ、ウチは週刊誌なんだから、失敗したって一週間で店頭から消えます、と豪快に笑って答えたのだ。編集者というのは、ほんとにいい加減なのである。


 こんな成り行きで書かれた作品ですから、
できあがりも『いい加減』だったりします。
 中身は……ハードボイルド作家であり
『男を描く作家』である南畑剛三がトラブルに巻き込まれ、
騒動のすえ事件を解決する……とストーリーが一応はあるものの、
ギャグだらけです。力一杯ふざけてます。フルスイングです。

 しかも、古い。「瓶詰めの街」は1990年代の作品で、
パソコン通信の世界を舞台にしています。
インターネットではなく、パソコン通信

 ふざけていて、古くて、オススメです(笑)。
オススメですとも。


 こちらの書店に並んでいますので、
お読みいただけるとうれしいです。
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