( ^ω^)ルビーと空腹

( ^ω^)「やあ、主任警部くん、久しぶり。私だ。
世界をまたにかけて活躍する名探偵だ」
(  ゚益゚)「やあ、貧乏探偵くん、久しぶり」
( ^ω^)「……」
(;^ω^)(地球の裏側から五日かけて
この寒い国まで駆けつけた私にその言葉か。うう……)
( ^ω^)「密室から宝石が消えたそうだね」
(  ゚益゚)「そう。ちょうど一週間前、ルビーが
大富豪のお屋敷から盗まれたんだ。捜査の結果、
容疑者は十八人いる」
( ^ω^)「十八!?」
(  ゚益゚)「金に困ってる連中が大勢いてね。
しかも、現場は密室ときやがった。
こういう面倒な事件、あんたは得意だろ。
報酬は出すからチャッチャと解いてくれ、貧乏探偵」
( ^ω^)「チャッチャと……」
(  ゚益゚)「ところであんた、さっきから腹が鳴ってるな。
空腹なのか? それなら、飯を喰いながら
事件について説明しよう。ピザをご馳走してやるぜ、
貧乏探偵」
(;^ω^)(……私が貧乏なのは、
移動費がかかるからなんだよなあ。
世界をまたにかけて活躍するのも辛いものだ)


( ゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)「刑事さん、
事件が解決したって本当ですか?」
(  ゚益゚)「まあまあ、みんなちょっと落ち着け」
( ^ω^)「おお、こちらが十八人の容疑者か。
さて、皆さん。
この盗難事件の犯人は……私だ」
(  ゚益゚)「は?」
( ゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)「は?」
( ^ω^)「凡人には思いつかない華麗な
トリックを使って、私がルビーを奪ったんだ。
おっと、トリックの中身を明かすつもりはないよ。
凡人の皆さんは、説明されても理解できないだろう」
(  ゚益゚)ポカーン
( ゚д゚)゚д゚)゚д゚)ポカーン
( # ゚д゚)「…………。おい、デタラメはやめろ!」
( ^ω^)「お?」
( # ゚д゚)「あのトリックは、俺が必死に考えたんだ。
それをなんだ、俺のことを凡人扱いしやがって!」
( ^ω^)「おおそうか。
きみがトリックを考えたのか。
つまり、きみがルビーを盗んだ真犯人なんだね」
( # ゚д゚)「……は?」
(  ゚益゚)ポカーン
( ゚д゚)゚д゚)゚д゚)ポポポカーン


(  ゚益゚)「何を考えてんだ、あの貧乏探偵!
無茶苦茶していきやがって」
(  ゚益゚)「……でもまあ、十八人の容疑者から
一人に絞れたわけだな。あとは、証拠固めと
ルビーの確保、密室トリックの解明……」
( # ゚益゚)「やることいっぱいあるじゃねえか!
貧乏探偵に手伝わせるか。……いや、
あいつをまた呼んだら追加料金が発生するか。
残りは警察でやればタダだ。俺が頑張ろう」
(  ゚益゚)「それにしても、びっくりしたな。
いきなり『私がルビーを奪ったんだ』とは。
真犯人が激怒して自白したからいいようなものの、
もし、あのまま逮捕されてたら
どうするつもりだったんだ?」

(  ゚益゚)「さっきから廊下がうるさいな。
何があった。……ひったくりを逮捕?
あ、またお前かジジイ。とりあえず地下の牢屋へ行ってろ」
(  ゚益゚)「被害者の女性はどこだ?
ああ、あなたか。ジジイのせいで大変でしたな。
これがあなたのバッグですね。中身を確認して下さい」
(  ゚益゚)「さっきのジジイですか?
あれはホームレスで、ひったくりの常習犯です。
わざと逮捕されて、刑務所へ行こうとするんです。
刑務所の方が、寒い外で暮らすよりマシらしくてね。
刑務所では、いちおう飯も出るし。粗末な飯ですが」
(  ゚益゚)「……」
( ;゚益゚)「おっと、失礼。考え事をしてました。
刑務所で飯を食わせてもらおうという貧乏人は
意外にいるものなんですよ。ははは」
(  ゚益゚)(……まさか、あの空腹の貧乏探偵も……)
( ;゚益゚)(まさかなあ)