五十二冊プラスワン

 札幌に、くすみ書房さんという有名な書店があります。
 品揃えや売り方に工夫をこらし、
話題になっているところです。

 こちらのお店が去年
「あなたの本棚」というイベントを発表しました。
あなたが本棚に並べる書籍を選べます、
あなたが選んだ書籍を札幌のお店で売ります、
本棚の名前も決められますという主旨です。
選んだ本が売れるかどうかを楽しむ本屋体験です。

 この企画に、私は申し込みました。
五十二冊の本を選び出し、本棚の名前は
「謎解きと冒険の花束」としました。
……うん、今思うと、恥ずかしい。
なんなんだよなー。花束って。

 本棚がセットされたのは、去年の12月20日頃。
二ヶ月間の限定企画なので、春頃には
撤去されているはず……と聞いていたのです、が。
 五月末に、くすみ書房さんからご連絡が来ました。
幸運にも売れ行きが良好で、
期間を延長していたそうです。

 ではここで、写真をどうぞ。
本を並べた直後の棚と、五月末、最終日の棚です。


 くすみ書房さんから届いたメールには、
「3回転位はしたと思います」と書いてありました。
 並べた本が売れ、再入荷したりしたようです。

 写真を見ると、「女には向かない職業」や
「開かせていただき光栄です」、「梟の拳」など
やや固めの作品をはじめ、「ウルチモ・トルッコ」、
「カリブ諸島の手がかり」、「百番目の男」、
「盲目の理髪師」のような
珍品、怪作も棚から消えています。
売れ行きに貢献することができたようです。

 多くの皆様に受け入れていただき、感謝しています。


 長くなってしまいましたが、最後にひとつだけ。
あえてリストに入れなかった作品について。
「ヒマラヤの風にのって」という本があります。
著者は吉村達也さんです。
多くの方に読まれるべき内容であると思うのですが、
『素人が選んで並べる本屋体験』という主旨の
遊び半分な企画に加えるのは失礼かなと考え、
リストに入れませんでした。
ですが、素晴らしい本なので、
機会がありましたらお手に取ってみて下さい。