童話というか寓話というか

「なあ、おまえ。宇宙という言葉を知ってるか?」
「うちゅう? そのぐらい知ってるぞ。
高い空の、さらに上にあるんだろ。
空なら今も見えてる」

 空を仰ぎます。高い高い空が見えます。

「じゃあ、宇宙船という言葉を知ってるか?」
「宇宙船? 宇宙へ行くための乗り物だろ」
「なんで、船というんだろうな」
「は?」
「だっておかしいよ。高く飛んで、
空を超えて、宇宙へ行くわけだろ。
船ってなんだ。水の上を進む物だぞ」
「わはは。じゃあ、宇宙飛行機とでも呼ぶか」
「わはは」「わはは」
「人間の使う言葉って、おかしいなあ」



井の中の蛙大海を知らず
されど空の高さを知る