雑談:ミステリーの話題

 ちょいと、トリックについての話題をひとつ。

 写真は、1993年5月号のミステリマガジン
……「ハヤカワミステリマガジン」ではなく
「ミステリマガジン」らしいです。
 特集は、ジョン・ディクスン・カーの世界。

 巻頭に、瀬戸川猛資氏と松田道弘氏の対談
「新々カー問答」が掲載されています。

 気になった部分を引用してみます。

瀬戸川  ぼくは『赤後家』は面白いとは思わないな。
もう一つどうかなって思うのは、『皇帝のかぎ煙草入れ』。
乱歩が誉めたから有名になったとしか思えない小説ですよね。
これも、ぼくは感じない。

松田 しかし、ミステリ作家はみんな感心するようですね。
アガサ・クリスティーもひどく褒めてたとか。そうか、
ああいうトリックをあんな簡単なことでできるのかと、
ひどく羨ましがって。

瀬戸川 そういえば、クリスティーが褒めましたね。
さすがのわたしもこのトリックには脱帽するとかって……。

松田 たしか、ペリイ・メイスンのシリーズにもありましたね、
このトリック。タイトルを思い出せないんですけど。

瀬戸川 全く同じトリックがですか?

松田 ええ。しかし、あれは誰が使ってもいいトリックです。

 「あれは誰が使ってもいいトリック」と
断言されていることが、強く印象に残っています。
 誰が使ってもいいトリックってあるんですねえ。