思いつきを書き留めておきます

「皆様、お集まりいただき
ありがとうございます。
私はついに、事件の真実がわかりました。
この部屋の三人の中に、犯人がいます」
「まさか」
「そんな」
「この中に」
「犯人が」
「……あれ?」
「今この部屋に何人いる」
「四人だろ。容疑者が三人、探偵が一人」
「探偵を容疑者から外す理由はない。
彼も容疑者の一人だ」
「部屋には三人しかいないじゃないか。
探偵自身も容疑者に含めている。
彼はフェアな奴だ」
「容疑者が三人ってどういうことだ。
君と、僕と、あともう一人は?」
「この大広間のどこかに死体が
転がってるんだろ。死体も含めて三人だ」
「三人の中に犯人がいると言っただろ。
被害者を容疑者に加えるんじゃない」
「そもそも被害者って誰だ?
何人殺されたんだ?」
「ついさっき、大広間のスピーカーから
歌が流れてきただろ。
“十二人のインディアンがディナーに行った”と。
十二人がここに集められて、みんな殺された。
今この大広間にいるのは四人だ」
「ついさっき歌が流れてきたのに、
もう九人殺されたのか」
「違う、殺されたのは八人で、
容疑者は三人、探偵を加えて四人だ。
探偵自身も容疑者に含めている。
彼はフェアな奴だ」
「元々は十二人だったのですか?」
「ああそうだ」
「でしたら、車掌の私としては
十二人分の料金を頂戴しなければなりません」
「誰だお前は」
「車掌です」
「そうか、私は探偵だ」
「私は容疑者です」
「僕も容疑者です」
「俺にも容疑がかかってるのか」
「そう。だから容疑者は四人だ」
「おい待て。ここはどこなんだ。
部屋なのか大広間なのか列車なのか」
「殺人現場です」
「で、容疑者は?」
「五人います」
「さっき四人と言っただろ」
「探偵を加えて五人だろ。
探偵自身も容疑者に含めている。
彼はフェアな奴だ」