ミステリー板の拾い物(鏡三題:その三)

叙述トリック考えた」スレから


247 :名無しのオプ:2013/08/28(水) NY:AN:NY.AN id:yviXlnMG
ガラスに、私の姿がうつる。黒いスーツの私。
死出の旅路に、ふさわしい服装だ。
私は、死に憧れていた。どうやって死のう、
そればかりを考えていた。そして私は、
独創的な自死を思いついたのだ。

ああ、興奮で立っていられない。
私はしゃがみ込んでしまった。
体のふるえが静まるのをじっと待つ。

ガラスに、私の青ざめた顔がうつる。
私は左手を差し出す。ガラスの中の
私も、左手を差し出す。次元を越えた
奇妙な握手。


私は立ち上がり、左手をポケットにしまう。
そして、拳銃を握りしめた右手を
ガラスの中の私に向ける。
これで、きっと死ねる。
ガラスの中の私も、右手に拳銃を
握りしめている。二人の私は
同時に笑い、同時に右手の拳銃を撃った。

何発も何発も撃つ。銃声が響きわたる。
ガラスにヒビが広がる。
もう私の顔は見えない。そして、
砕けた。ガラスが砕けたのだ。


ガラスの床が。


ガラスの床に向けて発砲していた私は
床という支えを失い、
奈落の底へと落ちていった。